歌う墓石と近未来。

こんにちは、熊谷墓園石材部の齋藤です。先日心も身なりも裕福なお客様が来店され、仏壇と墓石について色々話をしました。特に誰か身内で不幸があったと言う訳ではなく、この方は自分の為に来店されました。

聞けば既に自分自身が入る仏壇と墓石を購入済みとの事です。税金対策もあり、生前に自分のお墓を建てる人が最近増えてきましたが、まさか生前に自分の仏壇を買う人はなかなかいないので、この方の終活の準備は、文句なく完璧と言えるでしょう。

ただ、この仏壇墓石も既に用意した「完璧終活」な方が、なぜうちに来たかと言いますと、あるユニークな墓石を探しての事でした。それは、「歌う墓石」です。

私自身この方に会い、初めて知りましたが、群馬県の榛名に、高峰三枝子のヒット曲「湖畔の宿」の舞台が群馬の榛名湖であったことを記念し、「榛名 湖畔の宿記念公園」という場所を作ったそうです。

そして、その高台にある園内には、高峰三枝子の美しい歌碑があり、歌碑の前に立つとセンサーが自動で作動し、何と「湖畔の宿」のメロディーが流れると言うのです!

いったいどういう仕組みなんだと色々聞きましたが、どうやら歌碑の足がスピーカーになっている事ぐらいしかわからず、むしろ本題は歌碑の仕様云々ではなく、お客様自身がその歌碑みたいな石碑が自分の墓地に欲しい!という事でした。

当然この方は墓石を既に建立済みですから、おそらくその石屋にも既に行っているのでしょう。しかし、何せ機械仕掛けの「歌う墓石」ですから、どちらかというと石屋というより、むしろ電気屋の畑です。わからなかったのでしょう。

それにお客様自身は別に歌を入れたいわけではなく、自分のお墓参りに来てくれた方をセンサーで察知し、「アリガトウゴザイマス」といったように、声を入れたいとの事でした。

お墓参りをしていて、既に亡くなっている人の声が聞こえたら、実にホラーですが、お客様は実に真剣です。お金も持ってますしね。

たまたま私自身が翌日仕事が休みで、しかも丁度榛名に行く予定があったので、「分かりましたお客さん!いっちょ私がとりあえずその歌碑が、どんな具合なのか見てきます!」と、まぁ、こうなった訳です。

結論(オチ)から言うと、榛名に私用で行くとは言え、私用で行く目的地から更に車で30分かけてガソリン代使い、行ったにもか・か・わ・ら・ず、何と歌碑のセンサーの電源が落ちていたために全く反応せず、うんともすんとも言いませんでした。

歌碑に期待を込めてセンサーの前で右往左往する、少し前の自分のような観光客達をしり目に、管理している高崎市にクレームの電話を入れると、どうやら最近花火大会が榛名であったらしく、その際不必要にセンサーが反応しないように、あらかじめセンサーの電源を切っていたようです。

当然花火大会はとっくの昔に終わってますから、単純にセンサーの電源を職員が復帰し忘れた人災と言えます。あ~~~せっかく行ったのに本当残念。

さすがにこのままとんぼ返りでは無駄に無駄すぎますから、榛名湖にある昭和モダンな喫茶店に入り、これまた昭和モダンな「ナポリタン」を食べて帰ってきました。

ただこのままではお客様の宿題が何も解決していないので、現在鋭意解明中です。ただ、センサーですと今回のような「電源」の問題が有りますし、やっぱりどう考えても電気屋の畑です。

お客様に勧めようと現在調べているのはセンサーではなく、「QRコード」です。最近アメリカのあるご婦人が、脳腫瘍で亡くなった息子さんのお墓を作った際、お墓の中にQRコードを設置し、話題になりました。

QRコードですからもちろんスマホなどでスキャンすると、息子さんの追悼ページが表示されるそうです。日本でもこのQRコードを墓石に設置するサービスをしており、故人の写真や、お墓参りのログを残すことができます。

当然動画を再生することも出来ますから、QRコードをスキャンすれば、それこそ「アリガトウゴザイマス」と喋らせることも可能です。さらにさらに、今可能かどうかわかりませんが、将来的にはAR(拡張現実)でスマホ越しに、故人の生前の姿を浮かびだすことも可能だと思います。

実際、群馬の上毛新聞がこのARを採用しており、ある特定の記事をスマホで読み込むと、二次元の写真が三次元の拡張現実となって紙面上に浮かびだすサービスをしています。

まぁ、もっとも墓場で故人が浮かび上がってきたら、それこそまさにホラーですけどね。

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