増える空き家。新しい需要。

こんにちは、熊谷墓園石材部の齋藤です。今回は、空き家についてお話します。

今日お仏壇の配達がありまして、いつも通り配達をしてきたのですが、今回はお仏壇の買い替えの為、お仏壇の引き取りもありました。まだ、閉眼前ということもあり、今日引き取りはしてこなかったのですが、引き取り時に備え、現物を確認しに行きました。

引き取り予定のお仏壇は、施主が以前住んでいた家にまだ置いてあるという事で、今は誰も住んでおらず、空き家になっているという事でした。

施主と一緒に以前のご自宅まで行き、無事確認作業も終わりましたが、最近どうも空き家に置いたままのお仏壇を引き取る機会が増えたような気がします。

今回は買い替えの為、新しいお仏壇を新居へ収めた訳ですが、今月別件でお仏壇の引き取りがもう1件あり、そちらは完全に引き取りのみでした。

ご両親が他界し、実家が空き家になってしまい、お仏壇とお位牌がそのままになってしまったそうです。依頼主様は女性の方で、男の兄弟もいるようでしたが、事情によりお仏壇をみる事が出来ず、依頼主様も嫁いでいるため仏壇を持って行く事が出来ず、旦那さんに相談した末、借り仏としてご両親を旦那さんの家のお仏壇の中へ入れてもらえることになり、今回ようやく実家のお仏壇を引き取ってもらう決心がついたようです。

空き家になってしまった実家に、お仏壇とお位牌がそのままになってしまっていたので、ずっと心残りだったのでしょう。無事にお仏壇の引き取りが終わり、嫁ぎ先へ持っていくためお位牌を手にした依頼主様は、どこかほっとしたような顔をされていました。

今回話した2件の例は、それぞれ事情の違う「空き家」の話でしたが、5年ごとに調査される総務省の住宅・土地統計調査では、全国の空き家は756万8000戸あるそうです。(2008年調べ)

全住宅5758万6000戸に占める空き家率は、13.1%に上ります。1998年の空き家数が576万4000戸でしたので、空き家率が、11.5%。10年間の間に約180万4000戸の空き家が増えたという訳です。当然2008年時の記録ですので、最新のデータでは、更にこの記録が更新されることだと予測されます。

戦後、日本は住宅不足が続きましたが、高度経済成長に上向くと、1968年時、世帯数2532万に対し、総住宅数が2559万戸と、ついに住宅数が世帯数を上回りました。その後も経済成長とともに、住宅供給も増え続け、1973年には全都道府県全てで、総住宅数が総世帯数を上回ったのです。

そして2008年時において、増え続ける過剰供給により、総世帯数4997万世帯に対し、762万戸も住宅が「余る」という事態になってしまった訳です。

戦後当時は国や自治体が住宅不足解消を政策課題の重点に挙げて、総力をあげて取り組んだおかげで多くの住宅建設が進み、住宅不足は見事解消しましたが、長年の住宅促進政策の「つけ」が、「空き家」という形になって現れているのかもしれません。

以前のお話でも、少子高齢化の話をしましたが、地方の過疎化も進んでおり、増え続ける空き家に拍車をかけているようです。

このままでは放っておけませんから、増え続ける空き家の解消に向けて、自民、公明両党が法案をまとめ、秋の臨時国会で成立できるよう、現在特別措置法制定の動きが活発化してきています。

まぁ、空き家解消のネックである固定資産税の住宅地優遇の扱いがはっきり示されていない為、そうスムーズに事は運ばないでしょうが、今後の調整に注目ですね。

私自身長男なのですが、家を買ったくちなので、実家を誰か兄弟が継がない限り、確実に実家が空き家になるので他人のことは言えませんが、今後、そうして増え続ける空き家、それに伴う中古物件の行方、そうした空き家が増え続ける背景、そうしたものを敏感に察知して、今までになかった需要に、今までになかった新しいサービスを見つけた企業が、大きなビジネスチャンスをつかむのかもしれませんね。

それが、イノベーションなのでしょう。実際に成功し、実績を上げられたらの話ですが。

新しいお墓のかたち

前の記事

仏壇の種類と特徴③

次の記事

有名人のお墓紹介⑤