デザイナーベビー

こんにちは、熊谷墓園石材部の齋藤です。私は昔から日本が世界に誇る文化、「MANGA」が好きで、今も世界的忍者MANGA「NARUTO」の愛読者でもあります。

主人公「ナルト」は、幼少期は正直とても不遇な時期を過ごしましたが、その「血統」はご両親ともに大変有能で、「さすが○○の息子だ!」と言った具合に、誰もが認めるエリートです。

作中「ナルト」というキャラクターは、「血統」より「努力」がクローズアップされ、むしろ「血統」を重視しているのは、ライバルキャラクターである「サスケ」ですが、この「血統」は少年漫画では大変重要なファクターであり、大抵「血統=有名なエリート一族」ですから、主人公を際立たせる伝統的な手法でもあります。

漫画はあくまで空想の産物ですから、平凡な現実にはない非凡な「味付け」が必要な訳です。それを最もわかりやすく読者に伝える手法が、「血統」と言う訳です。

しかし、あくまでも空想の産物に過ぎなかった「味付け」が、もし現実の世界で出来るとしたら、それは人工的に「血統=エリート」を作り出すという事です。

それが「デザイナーベビー」です。今から5年前にアメリカ、カリフォルニア州の「23andMe」という会社が作り出した、最新遺伝子技術「gamete doner selection」。2009年に出願され、特許として認められた、ヒトがヒトをデザインする新しい「人間の作り方」です。

例えば、「子ども」にある条件を出します。

「目を青くしたい」「病気にかかりにくくしたい」「長生きさせたい」などです。

まず、そうした顧客からの希望に合う、遺伝子情報を持った精子と卵子を検査会社のデータバンクの中から解析します。その中から希望条件に近い「提供者」の各々のデータを計算し採点。結果、最も確率の高い「提供者」を選び出す訳です。

そして、顧客と、提供者の精子と卵子を授精させ、希望条件に見合う「子ども」が生まれるよう、人工的に確立をアップさせるのが、遺伝子操作技術です。

ただ、全てが全て上手くいくはずもなく、「失敗作」が出来ることもあります。それは受精卵が細胞分裂をした段階で調べることが出来るので、希望に沿わない受精卵はその時点で廃棄できます。そして少しでも確率の高い受精卵が出来たとき始めて子宮にもどし、出産へと繋がる訳です。

出産時、親が生まれて来る子どもに、「健康であって欲しい」「元気な子であって欲しい」と願うのは当たり前です。「頭のいいこに育って欲しい」「できればかっこよく(かわいく)なったらいいな」とも思うでしょう。

しかし、本来はそれはあくまで「願い」であり、現実願い通りでなくとも、子は子として可愛いものです。親子の情、つまり「無償の愛」があるからです。

しかし、デザイナーベビーはお金を払って子どもをデザインする訳です。これはもう「無償の愛」ではなく「ビジネス」です。どんなに高い確率でも、100%でない限り、必ず「失敗」が確率的に残ります。もし希望に沿わない「失敗作」を果たして親が愛せるのか?デザイナーベビーには色々と倫理的に問題は山ずみですが、私はこれが一番の問題だと思います。希望に沿わないビジネスは間違いなくクレームになるからです。

また、「成功」したとしても、親から「あなたは優秀な「医者」の遺伝子でデザインしたのよ。あなたには大金をかけているのよ。だからわかっているでしょ?」なんて小さい頃からもし言われ続けてしまったら、子どもは自分の存在を、自分の人生(もの)として感じれるのか。まるで他人の人生(コピー)のように感じてしまわないのか。

自分の親が自分の「人生」までデザインしてしまったら、果たして子どもはそこに「幸福」を望めるのか。親の想いが子どもに対し、一方通行ではないのか。本当に難しい問題です。

しかし現実「デザイナーベビー」は可能であり、ビジネスとして存在します。「ナルト」や「サスケ」のように忍術は使えませんが、優秀な「血統」を人工的に「金」で買う事が出来ます。

そうして誕生した人工的な「ヒーロー」が活躍するオリンピック。そうして誕生した人工的な「スター」が活躍するハリウッド。そうして誕生した人工的な人類は、そうして誕生出来ない運任せな「子ども」に対し、「優越感」を感じるのか。あるいは自分たちには無い「無償の愛」を妬むのか。

いつかもしそうした方に出会う機会があるならば、聞いてみたいものですね。

新しいお墓のかたち