両墓制

現在ではあまり聞かない言葉ですが、お墓の世界に、「両墓制」というものがあります。

風葬などによって白骨化した遺体を埋葬したり遺棄したりする場所(埋め墓)の他に、もう一つお参りする為のお墓(詣り墓)をつくる、という葬送の仕方をそう呼んでいます。

この両墓制は今ではほとんど見られなくなりましたが、かつては日本各地で行われていました。

死体を恐れたり、穢れ(けがれ)と見たりする。それは、人間の自然な感情であり、本性でもあります。しかし一方で、死者を懐かしんだり供養したいと思う気持ちも、人間は本来的に持っています。

この相反する二つの思いを満たすために、自然発生的に生まれたのが、この両墓制といえます。

埋葬する場所は地域によって決まっている場合が多く、そこは死者の霊がとどまっている「怖い場所」として普段、人は近づきませんでした。

一方、お詣りするためのお墓は生活の場の近くに設けられることが多かったようです。

 

 

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