お墓への儒教の影響

お墓は、一般的に仏教の影響が強いと考えられています。 ですが、仏教的な考え方の中に、儒教的な考え方が混じっていった、とする説もあります。

「魂カイ(白へんに鬼)」という言葉があります。 儒教では、人間の精神を「魂」といい、肉体を「カイ(白へんに鬼)」と称しています。

この魂とカイが共存している間、人は生きており、離れ離れになると死ぬ、と儒教ではかんがえます。 そして、人が死ぬと魂は天に昇っていってしまう。残されたカイを管理する場所がお墓である、というのです。

お墓や仏壇の前でするお焼香も、この考え方で説明されます。 つまり、天に昇ったカイはお線香の煙に乗って天から戻ってくる。 魂カイ(白へんに鬼)を再び一緒にして死者を再生するために、お焼香をするのだ、というわけです。

また、儒教では孝をはじめとする、家族道徳をも説いています。 たとえば、「論語」の中に、

「生けるには事(つか)ふるに礼を以てし、死すれば葬るに礼を以てし、祭るに礼を以てす」(為政)

と、父母に対する仕え方を示した一文があります。

この思想も、先祖を供養するという江戸時代に定着したお墓に対する考え方を醸成するのに、一役買ったと思われます。

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